今後も同じように使っていけるかもわからないので、私が第5世代の環境においてもっとも使えると思ったコンパンの型を紹介させていただきます。
催眠と運要素(眠りターン数)が主体となる育成論になりますので、興味がありましたら最後までお付き合いください。
本育成論ではHABCDSなどの略称を用いることがあります。
ダメージ計算はトレーナー天国様のツールを使用しております。
個体値は6Vを前提として考察しています。
- コンパンとモルフォン
ポケモン「赤」「緑」から登場している、モルフォンの進化前のポケモン。
種族値は特にとがったものがなく、全体的に低いものになっています。
タイプはモルフォンと同様の「虫・毒」であり、メジャー所でいえば「格闘・草に強く」「炎・岩に弱い」のが特徴です。
基本的にモルフォンの劣化となりえるコンパンですが、特性「ふくがん」によりモルフォンとはまったく異なる運用をすることができます(モルフォンに進化すると特性は「いろめがね」に変化します)。
複眼により「ねむりごな」の命中率が97.5%になるため、「キノコのほうし」とほぼ同様の使い勝手となるのです。
今回の育成論ではこの複眼ねむりごなを活用した起点作りをするコンパンを紹介します。
- 他のポケモンとの差別化
コンパン以外で複眼ねむりごなorキノコのほうしを覚えるポケモンは以下の8種類です。
バタフリー(複眼)、パラス、パラセクト、キノココ、キノガッサ、タマゲタケ、モロバレル、ドーブル
これらのポケモン(ドーブルを除く)とコンパンの差別化のポイントとして挙げられるのが、バトンタッチの存在です。
これにより、「高命中率催眠→バトンタッチ」による起点作りが可能なポケモンはコンパンとドーブルのみとなります。
残りの技を考えるとドーブルの方が圧倒的に優位となりますので、耐久により差別化を図ります。
種族値から耐久にのみ着目すると
コンパン H60 B50 D55
ドーブル H55 B35 D45
となっており、コンパンはさらに進化前であるため「しんかのきせき」を持たせることで耐久を上げることができます。これにより、相手を眠らせたうえで残りの体力を利用してみがわりを張ることが期待できます。
このことから、相手の攻撃を一撃耐えてからの「高命中率催眠→みがわり→バトンタッチ」による起点作りを行える唯一のポケモンはコンパンであると言えます。
- 運用方法1「後攻催眠→みがわり→バトンタッチ」
コンパンの素早さから考えて、基本的にねむりごなは後攻で使うことになります。
そのため、コンパンを先発で出した場合のバトルは以下の様な流れとなります。
バトル1ターン目
相手:攻撃
自分:ねむりごな
バトル2ターン目
相手:ねむり(1ターン)
自分:みがわり
ねむりは2〜4ターンですのでここで次のように分岐します。
バトル3ターン目
ケース1「眠り2ターンの場合」
相手:起きる→攻撃(みがわり破壊)
自分:バトンタッチ(ポケモン交代)
ケース2「眠り3〜4ターンの場合」
相手:ねむり(2ターン)
自分:バトンタッチ(ポケモン交代+みがわり残し)
この戦術の理想は、ケース2の様にみがわりを残したままエースポケモンに繋げることです。これにより「からをやぶる」や「はらだいこ」の様なリスクをともなう積み技を使用し、エースによる3縦を目指すことが基本戦術となります。
一方で、ケース1の様に相手が起きてしまった場合でも、相手のポケモンと状況を見てから控えのポケモンを選ぶことができます。コンパンの残り体力からこだわりアイテム持ちか判断することもできますし、場合によってはみがわりが破壊されていないこともありえます。
このように、ねむりごなさえ撒ければ、2/3の確率で積みの起点が完成し、はずれの1/3を引いたとしてもフォローが効くのが特徴です。
- 運用方法2「みがわりをはらない場合」
コンパンの残り体力でみがわりがはれないとき、または後続のエースポケモンが相手のポケモンに有利でみがわりが必要ないとき、「後攻催眠→バトンタッチ」という運用をします。
バトル1ターン目
相手:攻撃
自分:ねむりごな
バトル2ターン目
相手:ねむり(1ターン)
自分:バトンタッチ(ポケモン交代)
バトル3ターン目
ケース1「眠り2ターンの場合」
相手:起きる→攻撃
自分:積み技
ケース2「眠り3〜4ターンの場合」
相手:ねむり(2ターン)
自分:積み技
みがわりを挟んだときと比べて、積み技を安全に積める保障がありません。しかしながら、無傷で積み技をつめる確率は同じく2/3です。
- このコンパンの弱点
この戦術の弱点として次の3つがあります。
- 相手の初手がラム持ちなど催眠対策をとっている。
- 相手の初手が「ちょうはつorみがわり」をもっている。
- 最初の一撃でコンパンが倒されてしまう。
弱点1と2は、自分のパーティーをそういったポケモンを誘いにくい構成にすることである程度は防ぐことはできます(例えば催眠を強く意識させるキノガッサやカバルドン、ラグラージなどをパーティーにいれない)。
弱点3は努力値振りでなんとか誤魔化すしかありません。耐えきれる相手をキチンと把握しておきましょう。
- 性格&努力値について
本当に種族値が足りていないポケモンですので、HB(物理耐久)とHD(特殊耐久)のどちらかに特化させたほうが使いやすいと思います。自分のパーティに合わせて調整するのが一番だとは思いますが、この育成論ではHD特化のものを採用します。理由は以下の通りです。
- 様子見として撃たれやすい「蜻蛉ルチェン」を「とんぼがえり」はタイプで、「ボルトチェンジ」は数値で受けたいから。
- ニョロトノと先発で対面した時に安定するので、雨パに強く出れるから。
- エース候補となる「からをやぶる」を覚えるポケモンは基本的に物理耐久が高いから(パルシェンなど)。
コンパン@しんかのきせき
性格 おだやかorしんちょう
努力値 HD252 S4
HD特化のコンパンがどの程度の攻撃まで耐えるかは、後述のダメージ計算の項をご覧ください。
- 技構成について
「ねむりごな/バトンタッチ/みがわり/選択技」となります。
しかしながら確定技の3つですでに完結している型であるので、私はこのコンパンを使用していて選択技が欲しくなることはありませんでした。
パーティにもよる部分ですので、選択技については有用性がありそうなものを列挙するだけで、育成論の中で触れることはありませんのでご了承ください。
ちなみに「ちょうはつorみがわり」対策に選択技を攻撃技にしたところで、火力が低すぎて負荷もかけられなければ、みがわりも壊せません。
確定技
ねむりごな
特性の複眼により命中率が97.5%となる。
この技がないとコンパンである意味がないため確定。
バトンタッチ
遺伝技。他の催眠使いとの差別化になる。
この技がないとコンパンである意味がないため確定。
みがわり
みがわりバトンで起点を作るのが目的なので確定。
選択技
こうそくいどう
「催眠→高速移動→バトン」を狙うことができる。
素早さが変動し、バトンが先攻になるか後攻になるか分からなくなるので、
運用はみがわりより難しい。遺伝技
かげぶんしん
「(催眠→みがわり→影分身)のループ→バトン」を狙うことができる。
アイテムにより回復できないのでみがわりの回数が稼げず使いづらい。
この戦法にこだわるなら、小さくなるが使えるフワライドなどの他のポケモンの方が安定する。
いばる
いばみがを狙うことができる。
運がより多く絡んでくるため、起点作りには向かなくなる。
どくどく、どくびし
催眠と相性がよくなく、起点が作れなくなる。
むしのていこう
威力30で100%の確率で相手の『とくこう』ランクを1段階下げる。
どうしても襷・頑丈を潰したいときの候補。
相手の特攻を下げる補助技としても採用できる。
にほんばれ(コメント欄>>15さんからのアドバイス)
天候メタになる+低火力水技対し身代わり残せるチャンス増えます。
HDコンパンで受けきれるニョロトノやユキノオーに有用です。
カバルドンは素早さ種族値が47とコンパンより2しか高くないので、
素早さをカバルドン抜き調整にするのもいいかと思います。
バンギラスに対しては選出時点でコンパンを出すべきではありません。
同時遺伝が不可能な技
あさのひざし
できれば使いたい技であるが、バトンタッチとの同時遺伝が不可能。
- 持ち物考察
しんかのきせき
これ以外ありえません。気合の襷の場合、ドーブルの劣化となります。
- ダメージ計算
今回は攻撃技を採用していないため被ダメージ計算のみを記載します。
物理
ムクホーク(A252振り)
ブレイブバード132.9%〜158% 確定1発
バンギラス(A252振り)
ストーンエッジ119.7%〜141.3% 確定1発
ローブシン(A252振り,性格補正あり)
ストーンエッジ91%〜107.7% 乱数1発 (43.8%)
ハッサム(A252振り,性格補正あり)テクニシャン
バレットパンチ39.5%〜46.7%
とんぼがえり22.7%〜26.9%
ガブリアス(A252振り,性格補正あり)
げきりん77.2%〜91.6%
カバルドン(A無振り)
じしん43.1%〜50.8% 乱数2発 (3.1%)
特殊
ウルガモス(C252振り)
だいもんじ87.4%〜104.1% 乱数1発 (25%)
シャンデラ(C252振り)
だいもんじ91%〜108.9% 乱数1発 (56.3%)
ラティオス(C252振り,性格補正あり)@こだわりメガネ
りゅうせいぐん80.8%〜95.8%
キングドラ(C252振り,性格補正あり)@こだわりメガネ 天候: 雨
ハイドロポンプ84.4%〜99.4%
水ロトム(C252振り,性格補正あり)@こだわりメガネ
ハイドロポンプ59.8%〜70.6%
ボルトチェンジ34.7%〜41.9%
ユキノオー(C252振り,性格補正あり)@いのちのたま
ふぶき47.3%〜56.8% 乱数2発 (87.1%)
眼鏡キングドラの雨ドロポンを確定で耐えることができる耐久を持っているため、ニョロトノのあらゆる攻撃を一撃耐えることができ、雨パに対して安定して起点を作れます。
高火力の一致弱点に対しては、物理と特殊のどちらにしても耐えきれない場合が多いことに注意しましょう。
逆に、サブウェポンの不一致弱点に対しては「みがわりをはれるのHP」を残せる場合が多いです。ダメージの参考として、環境にありそうな火力調整に対する耐久を紹介します。
物理:飛行 火力指数10920
例,つばめがえし
H252キノガッサ 100.5%〜119.7%
H252奇跡コンパン46.7%〜56.2%
物理:岩 火力指数10700
例,ストーンエッジ、いわなだれ
H252ウルガモス 100%〜118.7%
H252奇跡コンパン46.7%〜55%
特殊:炎 火力指数10450
例,だいもんじ、めざパ炎
H252ハッサム 101.6%〜119.7%
HD252奇跡コンパン 31.1%〜37.1%
- バトン先候補
ステルスロックや天候ダメージがないため、襷や頑丈に強い積みエースと相性が良いです。
初手の被ダメージ次第では「コンパン→エースA→コンパン→エースB」の様に、2体のエースポケモンそれぞれに起点を作ることも視野にいれることができます。
マッスグマ(はらだいこ神速)
「はらだいこ」からの優先度+2の神速で全縦を狙うポケモン。
襷と頑丈には弱いが、ニョログドラにはめっぽう強い。
しぜんのめぐみ炎90により、雨下のナットレイすら確定1発です。
本育成論のコンパンはこのマッスグマのアシストのために考察しました。
パルシェン(からをやぶる)
襷に強く、両刀により抜き性能が高いポケモン。
「からをやぶる」のに相手の攻撃を耐える必要がなくなるため、
持ち物に命の珠、王者の印などを積極的に採用できます。
オノノクス(りゅうのまい)
ダブルチョップで襷に、型破り地震で頑丈に強いポケモン。
「りゅうのまい」を積むことで、苦手な相手にもごり押すことができる高い火力を持つ。
ゾロアーク(わるだくみ)
上記のポケモンが苦手とするヤドラン、クレセリア、エンペルトやゴーストタイプに強い。
コンパンとのタイプ相性がよく、初手コンパンに対して抜群のエスパー技を打てなくさせる。
ちょうはつ持ちよりも蜻蛉ルチェン持ちを初手で誘うところもコンパンと相性が良い。
その他の考察
- 素早さについて
6Vの個体を想定する場合、コンパンのすばやさ実数値は65です。後攻催眠をメインの戦術としているため、「素早さはできるだけ下げた方が良いのでは?」と考える方もいると思うので、私の考察を載せます。
まず、素早さ種族値45のコンパンを「個体値が0」で性格を「下降補正」がかかるものにすると、実数値は45となます。これは、素早さ種族値25の6V個体と並びます。このあたりの種族値のポケモンから岩タイプを並べると次のようになります(参考に一部他のタイプのポケモンも表記します)。
50 ボスゴドラ レジロック
45 ゴローニャ アーマルド イワパレス (コンパン)(ローブシン)
43 ユレイドル
40 ドサイドン ダイノーズ
35 サニーゴ
32アバゴーラ
30ウソッキー ハガネール マグカルゴ (ヤドラン)(ランクルス)
25ギガイアス
この様にかなりの数のポケモンが含まれます。HDコンパンは、タイプ一致ストーンエッジを耐えるのは難しいため、このあたりのポケモンには先攻で催眠を行いたいです。同速に攻撃力が高いポケモンが並んでいるため、努力値の残り4を素早さにまわすのがいいかと思います。
- あくびバトンとの差別化について
命中率100%の催眠技として、キノコのほうしなどの他に「あくび」があります。しかしながら、あくびは使ったターンに相手が眠るわけではないので、この育成論での「催眠+バトン」とは使い方が異なります。後攻あくびバトンはシャワーズ・ブラッキー等のイーブイ系をはじめに様々なポケモンで使われている戦術で、その立ち回り方は次のようになります。また、「あくびループ」についても説明します。
後攻あくび→バトンタッチの場合
相手が交代しない→相手は眠り 後攻バトンで後続の無償降臨
相手が交代する →相手の交代先を見てから後出しで有利なポケモンを無償降臨
あくび→あくびループの場合
相手が交代しない→相手は眠り 次のターンにバトンで後続の無償降臨
相手が交代する →相手の交代先にもあくびが入るので、眠るまで交代を強制させる
「あくびバトン」は眠らせることを重視しているのではなく、眠りによる起点or有利対面を作ることで有利に立ち回る戦術です。はらだいこマッスグマの様な有利対面を作っても積むことができないポケモンにとっては、相手が交代した時点でお荷物になってしまい、その時点で機能しなくなってしまいます。
「あくび→あくびループ」はカバルドンやラグラージなどステルスロックを撒けるポケモンがよく使う戦術です。相手は眠らないためには交代し続けなければならず、攻撃などをしたターンに眠ってしまうので確実に眠らせられるように思います。この戦術への主な対策は、ラムorカゴ持ちに交代することと、どくどくだまなどで状態異常になることです。つまり、相手の後続が催眠対策を持っていた場合は確実に眠らせることができません。それに比べてこの育成論の「後攻ねむりごな」は相手の初手が対策を持っていない場合確実に役割を遂行することができます。
上記の様に、あくびを使った型では眠りによる起点が作れるかどうかが、相手の立ち回りやパーティ選出にかなり依存してしまいます。
それに比べてこの育成論のコンパンは、起点を作ることに関しては相手の初手のポケモンにしか依存しません。
相手が確実に眠っているorみがわりをもっている状態でないと積むことが困難であるポケモン(はらだいこマッスグマ)のために確実に起点を作ることを目的とした場合、このコンパンの戦術の方が優れていると考えています。
- バトルビデオ
コンパンの活躍した試合を載せています。
蜻蛉ルチェンの誘いっぷりと思わぬ耐久の高さを感じてもらえるかと思います。
本来の仮想敵であるニョログドラとの試合は録画できませんでしたので、後日撮れ次第上げたいです。
その1
コンパンマッスグマの完封試合
58-31728-49742
その2
コンパンの泥仕合
54-24021-78599
そもそもコンパンのバトルビデオを上げている人が他にいないので、上記の番号を入れるよりコンパンで検索してもらった方が早いと思います。
- まとめ
なにかの劣化ではなく、コンパンだからこそできる技構成・戦術があるということを知っていただければ幸いです。
追加して欲しいダメージ計算や質問、指摘などがございましたらよろしくお願いします。