- 本育成論は理想個体を前提として考察しています。
- ルールは見せ合い6→3を想定しています。
- この育成論ではHP攻撃防御特攻特防素早さをそれぞれHABCDSと表記しております。
- スイクンについて
無駄のない種族値配分をしておりHBDが高くSも耐久を考えると高水準です。瞑想ねむカゴやみがまも、オボンを用いた物理受けや配布限定で絶対零度を放つ個体も存在し非常に汎用性の高いポケモンと言えるでしょう。対雨対砂対竜性能が高く、気がついたらPTに入っていたなんて経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は対面構築での採用を意識しつつねむカゴHSをベースに考察していきます。
- 性格&努力値
実数値:201-×-146-110-135-146
努力値:204-0-84-0-0-220
S:最速80族抜き
HB:A182ガブ逆鱗確定2耐え
HD:C177ボルトロスの雷高乱数耐え(11/16)
範囲を広げ対面有利を増やす事を考えた調整。対面構築も意識しています。対面構築のPTにスイクンがよく入ってきますが、このときのスイクンに求められているのは
・対受けループ性能
・水としての役割遂行能力
・ある程度の対雨・対砂性能
・ある程度の対物理竜性能
の4点に加えて相手の起点になりにくいことです。
対受けループ性能とはその名の通りラキグライムドークレセヤドランなどに対する性能です。対面構築は受け出し性能を余り考慮しておらず、受け回されてしまう受けループは苦手な部類に入ります。そこで対面性能を確保しつつ受けループにも対処できるポケモンが必要になります。
水としての役割遂行能力は主にマンムーやヒードランなどが対象となります。特にボルトロスやカイリュー、キノガッサやハッサムを採用する対面構築ではヒードランやマンムーが非常に重くなるため、これらに安定するポケモンが求められます。
対雨・対砂性能はボルトやガッサでも確保できますが、広く見られるポケモンが一体いると選出の幅が広がり融通が利きやすくなります。
物理竜性能に関してですが、これはガブリアスとカイリューどちらを意識するかで若干異なってきます。対ガブリアスを安定させようとした場合、意地スカーフ逆鱗まで耐えようとするとSが確保できません。その場合カイリューを抜けなくなるため対面から撃ち負ける選択肢が竜ジュエルと鉢巻きの二択になり、こちらに不利な読みを強いられます。逆に対カイリューを意識しSを伸ばした場合、意地スカーフガブリアスの逆鱗が乱数になるため安定して処理できなくなります。この二つを天秤に掛けどちらを意識したいかでHBSの調整点を判断するのですが、今回は
・対面構築ではカイリューの採用率が高くこちらを安定して意識したい
・同じく対面構築で採用されやすいマンムーに隙を見せにくい
・ボルトと組んだ場合カイリューと違いガブは神速を持たず比較すると縛り性能が低い
以上の3点を理由に最速80族抜きができる確定欄の調整を採用しました。
さて、以上4点が対面構築時にスイクンに要求される主な採用理由ですが、ここで零度スイクンを差し置いてHSスイクンを採用する理由を考えなくてはなりません。
零度スイクンが勝る点は文字通り絶対零度を使えることです。これにより行動できる限り常に3割の勝ち筋を持ち、居座り型に対し強い圧力を持ちます。このように強力な圧力を持つ零度スイクンですが身代わりを弱点とします。ラッキーなどの高耐久に身代わりを使用されると、8回しか試行回数が無く命中3割の零度では突破はほぼ不可能になります。それに対し瞑想を積める通常スイクンの場合無振りでも瞑想6積み熱湯でBSラッキーに対し32.6%〜38.8%のダメージを与えることができ身代わりによる負け筋を潰すことができます。また、エアームドは頑丈を持つため零度で処理することができず、繰り出していっても零度が安定択となり得ません。
零度スイクンは性格がのんき固定のため最大でもS123までしか伸ばすことができず、処理したいマンムーに対し若干不安定となり、またカゴのみを持ってもキノガッサに対して隙を見せてしまいます。
纏めると、受けループに対し隙を見せにくく、高いSによる中速への牽制力の違いが零度スイクンとの差別化となります。
また、受けループへの圧力は弱まりますが瞑想の枠にめざ炎を入れることでノオードランの並びに強くなり、ユキノオーを自分で処理できるようになるためPTの負担がぐっと減ります。めざ炎採用時はBのラインが確保できないのでガブ逆鱗2耐えか最速80族抜きまたはその両方を諦める必要があります。以下有名配分。
実数値:207-×-136-116-136-143
努力値:252-0-4-44-4-204
この配分で最速ヒードランを抜け、後出ししてくるH165D105ユキノオーを熱湯+火傷ダメ+めざ炎で高乱数で落とせます(=3割の確率で1サイクル目から崩せるという意味)。
- 臆病HSであることの利点
スイクンと言えば物理に厚く、ガブリアスなどの物理竜ストッパーという印象を抱いている方も多いでしょう。
そのような人にはこの調整はBが薄くスイクンの持ち味を放棄しているように思えるかもしれません。
しかし、零度スイクンを除きHBに厚く振ったスイクンがそのように機能していたのは第五世代初期で崩壊しています。
理由を述べます。まず一つは眠りの使用変更とそれに伴うキノガッサの強化です。今作から交換により眠りターンがリセットされるようになり、ローキックが追加された事も重なりキノガッサの圧力が非常に高まりました。
即ち、ガッサより遅いポケモンがいるとラムや寝言などの対処法を持たない限り起点にされ完封されるという事です。これにより足の遅いポケモンは火炎玉ブシンなどの対状態異常を持つポケモンを例外に駆逐され、キノガッサを抜ける種族値を持つポケモンはS135以上を保つ事がテンプレートとなりました。
もう一つの理由は意地っ張りガブやマルチスケイルカイリューの登場です。
これまではオボンを持ち凍える風を使う事で後出しからでも物理竜を確実に止める事ができましたが、マルチスケイルを凍える風2発で落とす事はCを全振りしても無振り相手にすら乱数に頼らざるを得ません。
特化カイリューは舞逆鱗で特化オボンスイクンを乱数2にでき、舞カイリューには後出しから、鉢巻カイリューに至っては対面からですら突破されてしまうリスクがあるため、物理竜への優位性が揺らぎ、四世代までの確実に物理竜を処理するというポジションは失われました。
要するに、キノガッサに起点にされるリスクを負っても意識したい物理竜への遂行が安定しないという事です。これはHB特化スイクンの採用理由が薄れた事を意味します。
そこで登場したのがノイクンやHSスイクンです。物理竜への後出しからの遂行力を削る代わりにSを上げ完封できるポケモンを増やしたりキノガッサに縛られず水としての役割安定を意識した物です。
また、先手で瞑想を積んだり眠るを使える事で対特殊性能や腐りにくさも手に入れています。
HSスイクンを考えるにあたって図太いと臆病の二つの性格が挙げられます。図太いのテンプレートである207-×-151-110-135-135の場合意地っ張りスカーフガブに対しても8割ほどで安定し鉢巻以外のガブリアスへの後出しが可能になります。
臆病の場合ヒードランや最速80族を抜けるため、ジュエル以外のカイリューを上から抑えられたり物理竜を倒した後も素早く眠る事で復帰出来るようになる範囲が広がっています。
- 技考察
- 確定
水技は選択です。基本的にどちらでも構いません。波乗りはバシャーモやドリュウズへの圧力が欲しい時に。熱湯はバンギラスなど物理ATを牽制したいときに。氷に対する保険にもなります。その辺りはPTのメンツで判断してください。
・冷凍B
これも確定。竜や草、飛行など幅広い範囲に刺さります。今回はCに割いておらず凍える風は火力不足となるので除外します。
・眠る
カゴのみと合わせて一度だけ即全回復できます。状態以上も防げるのでスイクンの突破手段を毒に依存する相手の場合完封できるようになります。
- 選択肢
確定欄はこれ。水の弱点は草電気とどちらも特殊方面であり、うまく瞑想を積めれば草電気に対しても撃ち合うことができます。決定力も上げることができ、攻守万能な技と言えるでしょう。
・目覚めるパワー炎
ユキノオーを意識した場合採用します。ユキノオーの他にハッサムやナットレイにも有効打を持てますが前者はオッカが多く、後者は耐久が高いため決定打となりにくいので交代読みでもまずは熱湯で火傷を狙う方が良いでしょう。
- 持ち物
・カゴのみ
今回はこれ1択です。回復手段となり状態胃異常・キノガッサ対策にもなります。特に毒毒耐性は居座りたい時に重要となるのでねむカゴは相性が良いです。
- ダメージ計算
・HB
A182ガブ逆鱗確定3 41.8%〜49.8%
A187ドリュウズの珠地震 乱数2 47.3%〜56.2%
A154バンギラスのストーンエッジ 乱数3 29.9%〜35.8%
テクニシャンキノガッサの珠タネマシンガン 確定3 38.8%〜46.8%
A186カイリューの珠舞逆鱗 確定2 83.6%〜99.0%
A182マンムーの地震確定3 34.8%〜41.8%
HD
C161雨グドラの眼鏡ハイドロポンプ 乱数2 45.3%〜53.7%
瞑想1積み時乱数3 29.9%〜35.8%
C177ボルトロスの雷 低乱数1 89.6%〜105.5%
C158ユキノオーの草結び 確定2 66.7%〜78.6%
C182ラティオスの眼鏡流星群 確定2 79.6%〜94.0%
与ダメージ
・熱湯
H207D165バンギ砂嵐込み 確定5 20.3%〜24.2%
H175D143ハッサム 確定5 20.6%〜24.6%
H191D135ヒードラン 低乱数2 41.9%〜50.3%
H185D80マンムー 確定2 68.1%〜81.1%
・波乗り
H155D90バシャーモ 低乱数1 86.5%〜101.9%
H187D85ドリュウズ 確定2 74.9%〜89.8%
・冷凍B
H184D105ガブリアス 確定2 82.6%〜97.8%
H167D120カイリュー 確定2 81.4%〜95.8%
H155D93キノガッサ 確定2 55.5%〜65.8%
・目覚めるパワー炎
H165D105ユキノオー 確定2 67.9%〜82.4%
H181D165ナットレイ 確定3 39.8%〜48.6%
H175D143ハッサム 乱数2 48.0%〜57.1%
- 構築
論中で難度も出てきた対面構築の例を紹介します。
・ボルトロス@襷
・ハッサム@鉢巻き
・キノガッサ@毒玉
・カイリュー@ラム
・ラティオス@眼鏡
・スイクン@カゴ
いわゆるボルトガッサ、ボルトハッサム構築と呼ばれる物でボルトロスやハッサムのトンボルチェンで有利な状態を作りつつ、隙を見てキノガッサやカイリュー・スイクンと言った抜き筋を繰り出していく物です。ラティオスの眼鏡トリックも起点作りに利用されます。その場合ラティ+ハッサム+何かと言った選出になります。
- 立ち回り
対面で有利に立ち回れる範囲が広く、PTの穴を埋めるのに最適。強力な積みアタッカーに対して隙を見せにくく自身も積んでいけるため相手の勝ち筋を潰しやすい。状態異常に強いので毒で突破しようとする敵を起点にでき眠るとプレッシャーのおかげで泥耐久合戦にも強いです。中速相手への圧力が高く、高火力AT相手でも一撃で沈むことがほぼ無いため非常に腐りにくいポケモンであり安定した仕事が期待できます。
考察は以上です。質問・感想はコメントで。