本稿で四回目の投稿となります。
さて、今回の育成論はトゲキッスについてです。
- 本育成論ではHABCDSなどの略称を用いることがあります・
- 個体値は理想個体値を前提として考察しています。
- ダメージ計算はポケモンの館様の物を使用しております。
- トゲキッス概要
第四世代でトゲチックから進化したポケモン。いわゆる厨ポケと呼ばれ、第四世代初期では大量発生していました。合計種族値545と非常に優れた数値となっており、その配分もヘラクロス並みに無駄のない物となっています。そのおかげで準伝並の耐久を有しており一撃で落とす事は困難です。また、技も多彩で隙が少ない物が揃っています。
- 特性
・天の恵み
技の追加効果発生率が二倍になるという凶悪な物です。張り切りは特殊には効果を及ぼさないので今回はこちらを採用します。
- 性格&努力値
今回は臆病を採用しています。
耐久は鉢巻きガブリアスの逆鱗を確定耐え、眼鏡ラティオスの流星群を確定耐えとなっています。これにより、殆どの拘り等倍技と強化アイテム無しの一致抜群技なら耐えられるようになっています。
Sは実数値135になるよう調整し、スカーフ時に130族抜き抜き、トリック後に最速70族を抜けるよう調整してあります。ヘラクロスを意識するなら実数値138まで上げても良いかもしれません。
また、Hは16n−1となっており、天候ダメージなどを最小限に抑える事が出来ます。
余りをCに振る事によりエアスラッシュでH4振りガブリアスを確定3で落とす事が出来ます。つまり、等倍を取れれば並のアタッカーなら確定3で落とす事が出来るという事です。この意味は後ほど説明します。
努力値:244-0-0-84-0-180
実数値:191-63-115-151-135-135
火力が足りないと思う方は控えめにして素早さを120族抜きに調整しても良いでしょう。
- 型説明
スカーフキッスならCS振りだろjkいう方もおられると思うので型の説明をさせて頂きます。
スカーフを持たせるとどのような利点があるのでしょうか。答えは単純で、素早さが上がる事で先手を取れる相手が増え、行動回数が多くなります。
何を当然な事を、と思うかも知れませんがこれが非常に重要なのです。ポケモンというゲームは詰まるところ行動回数の奪い合いです。
耐久や素早さを高める事は自分の行動回数を増やし、攻撃を高めると相手の行動回数を減らす事を意味しています。
このバランスをうまく調整するのがポケモンの醍醐味と言えるでしょう。わかりやすい例は201ガブでしょうか。
火力を落とす代わりに鉢巻きヘラのインファやライコウのめざ氷を確実に耐えられるようにする事で行動回数を増やし、結果的により多くのダメージを与えられるようになっています。
スカーフを持たせたいポケモンはジバコイルやバンギラスなど鈍足で素の耐久が高い場合が多く、相手の行動回数を減らすために攻撃面に努力値を割かれる事が多いです。
しかし、トゲキッスは事情が少し違います。理由は二つあります。
まず、一致技のエアスラッシュが威力75と貧弱なため攻撃を高めても確定数が変わりにくく効果を得にくいのです。トライアタックもありますがXD限定という厳しい制約があり、厳選するには気が遠くなるような時間が必要です。
そしてもう一つ、天の恵みにより一致技の怯みが6割となり半分以上の確率で相手を行動不能に出来るのです。
つまり、トゲキッスは自分の行動回数を増やす事が相手の行動回数を減らす事に繋がるのです。
さて、今回の努力値はH4振りガブリアスを確定3に調整してあります。ちなみに補正あり252振りでも確定数は変わりません。
この場合、二回の攻撃のうち一回でも怯めばこちらの勝ちとなります。そのとき、一度でも怯む確率は1−(4/10)^2×100=84%となります。つまり、確3程度の相手とタイマンした場合84%の確率で勝つ事が出来るのです。
このとき、耐久調整をせず、二回とも怯ませなければならなくなった場合の勝率は(6/10)^2×100=36%まで下がってしまい約50%の差が出る事になります。
このように、耐久調整を行う事で、結果的に勝率を大きく上げる事が出来るのです。
- 技考察
・エアスラッシュ
トゲキッスの代名詞。天の恵みにより怯み6割と聞いただけで戦意を失いそうになる追加効果を持っています。多少威力が低めですが飛行としての役割を遂行できる程度の威力は保っています。
・大文字
トゲキッスの苦手な鋼に抜群を取れる技。実は等倍ならエアスラッシュより威力が高かったりします。四倍弱点持ちも多いので何かと重宝します。火傷二割。
・波動弾
威力安定・必中のサブウエポン。飛行を半減する鋼と岩に刺さります。岩悪(バンギラス)に四倍ですが鋼超(メタグロス・ドータクン)には等倍になってしまうのが残念。大文字と若干範囲が被り気味なので好みで選んで良いでしょう。
・草結び
電磁波持ちの多いこいつは地面を呼ぶのでその牽制に。岩や水にも刺さるので使い勝手は良好です。威力は相手の体重に依存していますが草抜群のポケモンは重い個体が多いのでそこまで気にはならないでしょう。
・めざめるパワー氷/地面
サブウエポンが豊富なので基本的にピンポイント採用です。
電磁波無効のガブリアスを呼びやすいので氷があると非常に便利。
地面は電気対策になりますが等倍文字とそこまで変わらないので無理に粘る必要はないでしょう。
・トライアタック
XD限定技。四割で麻痺・火傷・氷のいずれかを引き起こす凶悪な技。それ故厳選も非常に困難。あればメインウエポンとして大活躍出来ます。
・トリック
相手と持ち物を入れ替える技です。耐久や積みに用いる事で一度だけ疑似アンコールのように使うことが出来ます。持ち物に依存した戦法や調整は多いので、場合によっては機能停止に追い込む事も出来ます。耐久型には致命的な被害を与える事が出来ます。
・アンコール
何度もアンコールを使いたい、スカーフを手放したくない場合はこちらを。
・サイコシフト&ねごと(B級様、なが様よりコメント欄でアドバイスを頂きました。)
状態異常対策です。
スカーフは状態異常で機能停止に追い込まれやすいのでその対策です。
この二つを同時に持たせると範囲が狭くなり、小回りもききにくくなりますが催眠持ちに対して安定した立ち回りをする事が出来ます。
また、キノガッサに後出しから2/3の確率で勝つ事が出来るようになります。
- 持ち物考察
・拘りスカーフ
今回の育成論はスカーフ前提で考えていますのでこれで確定です。
- ダメージ計算
計算にはポケモンの館様の物を使用しております。
与ダメ
・エアスラッシュ
H4ガブリアス確定3 割合:33.6〜39.6%
H252ユキノオー確定2 割合:62.9〜74.6%
H4ラティオス乱数3 割合:32.6〜38.4%
H252D140ヘラクロス確定1 割合:105.8〜125.1%
・大文字
珠文字耐えグロス確定2 割合:55〜65.2%
めざ炎耐えナットレイ乱数1 割合:93.9〜110.4%
慎重HDハッサム確定1 割合:107.3〜126.5%
・草結び
H252スイクン確定3 割合:41.5〜49.2%
H252ラグラージ確定2 割合:82.1〜96.6%
H252カバルドン確定2 割合:69.3〜81.8%
H252トドゼルガ乱数2 割合:48.3〜57.1%
・波動弾
流星耐えバンギラス確定2 割合:54.1〜63.7%
H252サザンドラ乱数2 割合:47.7〜56.2%
・めざめるパワー氷
201ガブリアス確定2 割合:76.1〜89.5%
H252グライオン乱数1 割合:93.4〜109.8%
・物理耐久
A252鉢巻きガブリアスの逆鱗確定2 割合:84.2〜99.4%
A4意地っ張り鉢巻きヘラクロスのインファイト確定2 割合:74.3〜87.9%
A252意地っ張り鉢巻きヘラクロスのインファイト乱数1 割合:90.5〜106.8%
A187メタグロスのプレートコメットパンチ確定2 割合:57.5〜68%
A252珠ギャラ竜舞1積みこおりのキバ乱数1 割合:85.3〜100.5%
A252ゴウカザルの珠インファイト確定2 割合:62.3〜73.8%
・特殊耐久
C252眼鏡ラティオスの流星群確定2 割合:84.2〜99.4%
C252控えめジバコイル10万ボルト確定2 割合:83.7〜98.9%
C252控えめユキノオー吹雪確定2(霰無視) 割合:83.7〜98.9%
- 構築
・誘う相手
主に飛行半減である電気、鋼、岩及び数値受けが可能なポケモンを呼び込みます
具体的には
水ロトム、サンダー、ヒードランのような有効打を持ち得ないポケ
バンギラス、ハピナス、サマヨール、ポリゴン2のような数値で受けるポケ
タイマン時に限るとテラキオンも中々重いです。
よって、以上のポケモンを見せ合い時に牽制、若しくは捌けるポケと組ませるのが望ましいです。以下に相性の良さそうなポケモンをいくつか挙げます。
・メタグロス
型サンプル
実数値:187-181-155-×-125-94@鉢巻き
思念/アムハン/地震/コメット
物理:珠テラキのエッジ+インファ+石化を最大乱数以外耐え
特殊:眼鏡ラティの波乗り確定2耐え
キッスの苦手な岩氷電気を等倍以下で受ける事が出来ます。
文字で対策できないヒードランは風船が多いのでアムハンを採用。
ついでに風船ジバコも狩れます。
風船型と違い後出しから安定してガブを狩れず、拘り型なので一貫性の低い冷凍Pの採用は見送りました。
スカーフ型なら技が縛られ、タイプ相性的にキッスでカバーが可能なのでそこまで気にする必要はないです。
コメパンはHDカバやB特化ヨノワールを確2に出来るから採用。
コメットの枠はバレットでも可。
地震は主にミラー対策や、電気炎への素早い遂行を目指す際に使用。
耐久調整の残りをAに回していますがこれでも仮想敵を確2にでき、必要な火力は保っています。
テラキオンを意識して耐久を高めてありますが素早さが気になる場合はそちらに回しても良いでしょう。
サンダーや水ロトムなど誘う相手が似通っているので相手の選出を縛りやすく、役割破壊がきまりやすいです。
見せ合いでローブシンやカイリキーなどの格闘を見せておけば、ポリゴン2やヒードランは牽制できます。
・ナットレイ
グロスと同じくキッスの弱点を等倍以下で受けきる事が出来ます。鋼と宿り木のおかげで対耐久にめっぽう強く、電磁波を撒けるのでエアスラの補助も出来ます。
ぬかみそ様のナットレイbw/637
上記二体と組ませる時は炎が一貫してしまうのでなど炎半減と組ませると
良いでしょう。
・ラグラージ
電気無効岩半減で唯一弱点の草はキッスが半減可能と好相性です。エアスラを半減されやすい砂パに強いのも評価出来ます。
mk48様のラグラージbw/903
・ヘラクロス
後出しは難しいですが、キッスが苦手とするポケモンを悉く潰せます。非常に影響力のあるポケモンで、見せ合いにいるだけで相手の選出を躊躇わせる事が可能です。
=様のヘラクロスbw/233
- 立ち回り
先発で起用しエアスラ連打したり、地面草虫技読みで繰り出し負荷をかけていきます。
特に、終盤の抜き性能はピカイチでダメージが蓄積した相手に手も足も出させません。
味方が電磁波を撒いておけば切断率No1とも言われるまひるみ戦法も可能です。
電磁波型が最も警戒されているので地面を呼びやすく、見せ合いルールだと交換先が読みやすいです。
耐久指数も高いので強引な繰り出しもでき、融通が利きます。
場合によっては相手に一度も行動させずに完封する事も可能でポテンシャルはなかなかの物です。
一致技の威力が低めなのでPTで相手の選出をある程度コントロールできるような構成にすると良いでしょう。
選出したメンバーで突破しにくい耐久型などにはスカーフをトリックして行動不能にさせることで相手のサイクルを崩す事が出来ます。
運ゲーといわれがちですが、確定数を計算してしっかりと調整し、PTで相手の選出をコントロールした物であれば運ではなく実力による物と言えると思います。
まだまだ拙いかも知れませんが参考になれば幸いです。
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